AI・EV普及で変わる整備士の将来性|公的データで検証する現実
「AIやEVが普及したら、整備士の仕事はなくなってしまうのか?」
自動車業界で働く多くの方が
この疑問を抱いているのではないでしょうか。
特に、電気自動車の普及やAI技術の進歩を目の当たりにすると
従来の整備技術だけで本当に生き残れるのか
不安になるのも当然です。
しかし、様々な公的統計データや業界動向を調べてみると
実はAI・EV時代の整備士の将来性は非常に高いことが分かります。
技術の進歩は整備士の仕事を奪うのではなく
むしろその価値を向上させ
求められるスキルの幅を広げているのです。
この記事では
国土交通省や経済産業省などの公的統計データに基づいて
整備士の将来性を客観的に検証し
どのようなスキルが求められるのか
どうキャリアアップしていけばよいのかを詳しく解説します。
AI・EV時代、整備士の"価値"はむしろ上がる
「将来性は高い」根拠となる数字
整備士の将来性について
まず押さえておきたいのが有効求人倍率4.55倍(2023年3月時点)という数字です。
これは全職種平均の約3倍の水準で、整備士への需要がいかに高いかを示しています。
参考:国土交通省 自動車整備業における人材確保・育成に関する検討会資料
また、整備要員数は約40万人規模で推移しており
自動車保有台数の維持と新技術対応により
需要は今後も堅調に推移することが見込まれています。
EV化・ADAS化により高度作業が日常化
なぜ整備士の価値が上がるのか。
それは、EV(電気自動車)化とADAS(先進運転支援システム)の普及により
従来の機械的整備に加えて
「特定整備」と呼ばれる高度な電装・制御系の作業が日常業務となるためです。
特定整備とは、
電子制御装置整備として2020年に制度化された業務で
以下のような作業が含まれます。
- ADASのカメラ・レーダー調整(キャリブレーション)
- ECU(エンジン制御ユニット)のコーディング・診断
- 衝突被害軽減ブレーキシステムの点検・整備
- 自動駐車システムの調整
参考:特定整備制度の概要(国土交通省) 詳細:特定整備制度概要PDF
最新技術への対応が求められる現場
例えば、軽微な接触事故で入庫した車両でも
フロントバンパー交換後にミリ波レーダーの再キャリブレーションが
必要となるケースが増えています。
これまでの「部品交換→完了」ではなく
「部品交換→電子制御装置調整→動作確認→完了」という流れが標準となります。
今後の整備は「電装×ソフト×安全」の総合職
これらの変化により、整備士は単なる「修理工」から
「電装×ソフトウェア×安全技術」を扱う総合技術者へと進化します。
既存の機械的スキルに電子制御の知識が加わることで
経験者のキャリアは大きく拡張されるのです。
数字で見る「将来性」
採用市場:求人倍率と事業場の実態
整備業界の人材需給を詳しく見てみましょう。
前述の有効求人倍率4.55倍の背景には
整備業界特有の構造があります。
全国の自動車整備事業場は約9万2000事業場存在し
その大部分が従業員10人以下の小規模事業場です。
これらの事業場では
即戦力となる経験者への需要が恒常的に存在しています。
特に注目すべきは、特定整備認証を取得した事業場での求人需要です。
2020年の制度開始以降
認証取得事業場では電子制御装置整備に
対応できる人材の獲得競争が激化しており
待遇改善を図る事業場も増えています。
EV・電動化:日本の現状と今後
日本のEV市場について、現状と将来予測を確認しましょう。
直近の日本におけるEV販売比率は約2%にとどまっていますが
これは世界市場(10〜15%)と比較すると
大きな成長余地があることを意味します。
政府は2035年までに新車販売を電動車100%とする目標を掲げており
モビリティDX推進への投資も本格化しています。
これに伴い、EV整備に対応できる人材への需要は
今後急速に拡大することが予想されます。
制度・仕事の変化:特定整備・訪問特定整備
制度面でも大きな変化が起きています。
2020年の特定整備制度に続き
2024年には訪問特定整備制度も新設されました。
訪問特定整備は
お客様の指定する場所で特定整備を行う制度で
働き方の多様化にも対応しています。
これにより、従来の工場勤務だけでなく
出張整備という新しいワークスタイルも選択可能となりました。
仕事はこう変わる:AI×データ×EVで増える"新・定番業務"
予防保全・リモート診断・OTA対応
AI技術の導入により
整備業務は「故障してから修理」から
「故障する前に予防」へとシフトしています。
具体的には
車両のDTC(診断トラブルコード)データを継続的に解析し
故障の予兆を検知して事前に部品手配を行うシステムが実用化されています。
これにより入庫回転率の向上と顧客満足度の向上を同時に実現できます。
ADASキャリブレーション・センサー整備
ADAS搭載車の普及により
カメラ・レーダー・センサー類の調整(キャリブレーション)が日常業務となります。
- フロントカメラのエーミング調整
- ミリ波レーダーの再設定
- 超音波センサーの動作確認
- LiDAR搭載車の校正作業
これらの作業には専用設備と高度な技術知識が必要で
対応できる整備士の市場価値は大幅に向上します。
EV高電圧系の点検・絶縁管理
EVやハイブリッド車の高電圧系統(通常200V〜800V)の整備には
従来のガソリン車とは異なる安全手順と専門知識が必要です。
- バッテリーパックの絶縁抵抗測定
- 高電圧配線の点検・交換
- インバーター・コンバーターの診断
- 充電システムの動作確認
これらの業務は高い安全性が求められるため
適切な教育を受けた整備士への需要が高まっています。
※安全要件については各法令・メーカー要領に準拠した作業が必須です
よくある質問(FAQ)
Q1. AIで整備士の仕事は減りますか?
A: むしろ高度作業が増加し、需要は拡大します。
AIの導入により、
診断・キャリブレーション・OTA対応といった高度な作業が増加しています。
また、有効求人倍率4.55倍という数字が示すように
整備士不足も深刻で
需要は今後も維持・拡大する傾向にあります。
業務変化:特定整備制度PDF
Q2. EV整備に2級でも対応できますか?
A: メーカー要領遵守と適切な管理下で段階的に対応可能です。
2級整備士でも、メーカーの作業要領を遵守し
特定整備認証を取得した事業場の管理下であれば
EV整備に段階的に対応できます。
ただし、将来的なキャリア発展を考えると
一級資格と電子制御分野の深い理解が大きな武器となります。
制度詳細:特定整備制度(国土交通省)
Q3. 日本のEVは伸びますか?
A: 現状2%から今後大幅な成長が見込まれます。
現在の日本のEV販売比率は約2%にとどまっていますが
世界市場は既に10〜15%に達しています。
政府の政策支援と民間投資の拡大により
日本でも今後EV市場の急拡大が想定されています。
投資状況:モビリティDX投資(経済産業省)
Q4. 現場で最初に学ぶべきAI/データ活用は?
A: DTC解析から始まる予防保全の型化が第一歩です。
まずは、DTC(診断トラブルコード)解析による
故障予兆検知から始めることをお勧めします。
「DTC解析→予防保全→事前部品手配」という一連の流れを標準化し
スキャンツール運用を体系的に学ぶことが
AI・データ活用の基盤となります。
Q5. 特定整備の資格は必須ですか?
A: 資格そのものはありませんが、認証事業場での経験が重要です。
特定整備は「資格」ではなく「認証制度」です。
特定整備認証を取得した事業場で
適切な設備と管理体制の下で業務経験を積むことが重要です。
一級整備士資格があれば特定整備管理者としても活躍できます。
まとめ:AI・EV化で整備士の価値は上がる
結論:AI・EV化により整備士の市場価値は確実に向上します。
これまで見てきたように、技術の進歩は整備士の仕事を奪うのではなく
より高度で専門性の高い業務へとシフトさせています。
有効求人倍率4.55倍という数字が示すように
適切なスキルを身につけた整備士への
需要は今後も高い水準を維持するでしょう。
今こそ行動のとき:学習支援体制の整った職場で新しいキャリアを
将来に不安を感じている整備士の方々へ。
制度対応と継続学習により
「今の経験」を一段階上の市場価値に押し上げることが可能です。
重要なのは、学習支援体制が整った職場環境を選ぶことです。
特定整備認証の取得、最新設備の導入
そして何より従業員の成長を支援する制度があるかどうかが
あなたのキャリアを左右します。
当社は創業30年以上にわたり
地域に根ざした自動車整備を続けてきた老舗工場です。
EVやAIなど新しい技術に対応するため
資格取得や学習を全面的にサポートする制度を整えています。
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最後までご覧いただきありがとうございました。