【2025年版】OBD検査で”落ちない”完全ガイド|DTC・レディネス・事前点検の正解
OBD検査導入1年で見えた「合否の分かれ目」

結論から申し上げます。
OBD検査で不適合となる車両の約5%は
事前準備の不足が原因です。
2024年10月に本格運用が開始されたOBD検査制度は
すでに1年が経過し、現場では明確な傾向が浮き彫りになっています。
国土交通省が公開した運用状況モニタリングデータ(2024年10月1日〜11月24日)
によれば、**不適合あり率は4.9%**を記録しました。
(出典:国土交通省「OBD検査の運用状況」)
この数字が示すのは、単なる車両の不具合ではありません。
多くのケースで「電圧不足」「レディネス未記録」「通信不成立」
といった準備不備に起因する不適合が発生しているのです。
つまり、適切な事前整備と準備があれば
これらの不適合の多くは回避可能だということです。
本記事では、OBD検査制度の最新動向から
検査で落ちないための具体的な対策
そして2025年10月から本格適用となる輸入車対応まで
現場で即実践できる情報を網羅的に解説します。
OBD検査制度の全体像:2024年から2025年への変遷

制度開始の背景と目的
OBD(On-Board Diagnostics)検査とは
車両に搭載された故障診断装置を活用し
電子制御システムの異常を車検時に確認する制度です。
理由は明確です。
現代の自動車は高度に電子化されており
従来の目視や計測では検知できない不具合が増加しているからです。
国土交通省の資料によれば
この制度は「保安基準に適合しなくなるおそれがある状態」を早期発見し
道路運送の安全性を向上させることを目的としています。
(出典:国土交通省 OBD検査概要)
対象車両と適用時期の正確な理解
対象となるのは以下の車両です。
- 国産車:2021年10月1日以降に新型として登録された車両
- 輸入車:2022年10月1日以降に新型として登録された車両(ただし、本格適用は2025年10月1日から)
この時間差が重要です。
輸入車については、制度開始から約1年の猶予期間が設けられており
2025年10月以降に本格的な検査対象となります。
(出典:JASPA(日本自動車車体整備協同組合連合会)解説)
具体的な対象型式は
国土交通省が公開している型式リストで確認できます。
(参照:対象型式リストPDF)
車検前には必ずこのリストで対象車両かどうかを確認することが
トラブル回避の第一歩です。
例えば、2020年式の車両であっても
型式が2021年10月以降の新型であれば対象となります。
登録年ではなく、型式の新規届出日が判断基準となる点に注意が必要です。
検査で「落ちる」典型パターンと対策

不適合の3大要因:現場データが示す真実
国土交通省の運用状況報告では、不適合の主な原因として以下が挙げられています
- 電圧不足
- レディネス未記録
- 通信不成立
これらは車両の本質的な故障ではなく、検査前の準備不足で発生するケースが大半です。
理由を説明します。
OBD検査では、車両の診断コネクタとスキャンツールを接続し
ECU(エンジンコントロールユニット)に記録された
DTC(Diagnostic Trouble Code:故障診断コード)やレディネスコードを読み取ります。
この通信プロセスには、安定した電源供給と
車両側の診断システムが完全に準備できている
状態が必要不可欠なのです。
電圧不足を防ぐ具体的手順
バッテリー電圧が12V未満の場合、通信エラーや誤検知のリスクが高まります。
対策として、以下を実施してください
- 検査前にバッテリー電圧を測定し、12.5V以上を確保
- 弱っているバッテリーは事前に充電または交換
- 車検当日の朝、短距離走行のみで来場した場合は特に注意
- 可能であれば、検査前に20分程度のアイドリングまたは走行で充電
実例として、朝一番の検査で電圧不足により通信エラーとなり
昼過ぎの再検査では問題なく通過したケースが報告されています。
レディネスコードの確認と完了条件
レディネスコードとは
各診断項目(触媒、O2センサー、EVAPシステムなど)の自己診断が
完了しているかを示すステータスです。
レディネスが「未完了」の場合、検査は不適合となります。
理由は、診断が完了していない状態では
システムに異常があるかどうか判断できないためです。
レディネスを完了させるには、以下の走行パターンが有効です
- 暖機運転(10分程度のアイドリング)
- 市街地走行(加速・減速を含む通常走行)
- 高速走行(一定速度での巡航)
ただし、車種によって完了条件が異なるため
メーカーの整備マニュアルを参照することが確実です。
一般的には、バッテリー交換やDTC消去後は、50〜100km程度の走行が必要とされています。
(出典:BSRweb OBD検査会合記事(前編))
通信不成立への対処法
診断コネクタの接触不良や、
車両側の通信プロトコルの問題で通信が成立しないケースがあります。
対策
- コネクタ端子の清掃と確実な接続
- スキャンツールのソフトウェアが最新版か確認
- 車両の通信プロトコル(CAN、ISO9141など)に対応したツールの使用
- イグニッションON状態での接続(エンジン始動は車種により異なる)
特に輸入車では、メーカー独自のプロトコルを使用している場合があり
汎用スキャンツールでは読み取れないケースも報告されています。
この場合、メーカー純正の診断機器が必要になることがあります。
(出典:JAIA(日本自動車輸入組合)整備情報)
輸入車の本格適用:2025年10月からの注意点
適用開始による現場への影響
2025年10月1日から、輸入車もOBD検査の本格対象となります。
これまで猶予期間だった輸入車についても
国産車と同様の基準で検査が実施されます。
JASPAの資料では
「令和7年(2025年)10月から」と明記されており、整備工場は準備期間の終了を認識する必要があります。
(出典:JASPA OBD解説ページ)
輸入車特有の課題と対応策
輸入車の場合、以下の点で国産車と異なる対応が必要です
1. 整備情報の入手ルート
輸入車の型式別対象リストや整備情報は
JAIA(日本自動車輸入組合)が窓口となっています。
メーカーごとの対応状況、必要なスキャンツール、特殊な手順などの
情報を事前に確認してください。
(参照:JAIA OBDリスト)
2. 診断機器の互換性
欧州車の多くは、メーカー独自の診断システムを採用しています。
汎用OBD-IIスキャンツールでは、基本的なDTC読み取りは可能でも
レディネスコードの詳細確認や特定機能へのアクセスができない場合があります。
実例として、ドイツ製高級車では
メーカー純正診断機または認定ツールでなければ
全ての診断項目にアクセスできないケースが報告されています。
3. 言語対応とコード解釈
DTCの表示が英語やメーカー独自コードの場合
正確な解釈には専門知識が必要です。
誤った判断を避けるため
メーカーのテクニカルサポートや専門研修の活用を推奨します。
DTC(故障診断コード)の正しい理解と対処
DTCとは何か:基礎知識
DTC(Diagnostic Trouble Code)は
車両の電子制御システムが検出した異常を数値コードで記録したものです。
重要なのは、DTCが記録されている=車検不合格、ではないという点です。
OBD検査では、「保安基準に適合しなくなるおそれがある状態」に
該当するDTCのみが不適合判定の対象となります。
つまり、安全性や環境性能に直接影響しない軽微なコードは
記録されていても検査には影響しません。
対象となるDTCの種類
検査対象となるのは、主に以下のシステムに関連するDTCです
- エンジン制御系(燃料噴射、点火時期など)
- 排出ガス浄化系(触媒、O2センサー、EVAPなど)
- ブレーキ制御系(ABS、ESC)
- エアバッグ系
例えば、エアコンの異常コードやオーディオシステムのエラーは
保安基準に関係しないため対象外です。
DTC消去のタイミングと注意点
検査前にDTCを消去すべきかどうかは、慎重な判断が必要です。
理由:DTCを消去すると、同時にレディネスコードもリセットされるためです。
BSRwebの会合記事によれば、DTC消去後のレディネス完了には十分な走行が必要であり
消去後すぐに車検を受けると「レディネス未完了」で
不適合となるリスクがあると指摘されています。
(出典:BSRweb 後編)
推奨手順
- まず現状のDTCとレディネスを確認
- 対象となるDTCがあれば、原因を修理
- 修理後にDTCを消去
- レディネス完了まで十分に走行(50〜100km目安)
- 再度DTCとレディネスを確認してから車検へ
ユーザー車検への影響:正しい情報の整理
「ユーザー車検廃止」は誤情報
インターネット上で
「OBD検査導入でユーザー車検が廃止される」という情報が散見されますが
これは誤りです。
国土交通省からそのような公式発表は一切ありません。
2025年時点でも、ユーザー自身が陸運支局で車検を受けることは可能です。
(出典:おたから車検 解説記事)
ユーザー車検でのOBD検査の実際
ただし、OBD検査の導入により、ユーザー車検のハードルは上がっています。
理由:OBD検査では専門的なスキャンツールと知識が必要だからです。
陸運支局の検査ラインにはOBD検査機器が設置されており
検査自体は実施されます。
しかし、不適合となった場合の原因診断や事前準備は
ユーザー自身が行う必要があります。
実際には、以下のような対応が現実的です
- 事前に整備工場でOBDスキャンを依頼し、DTCとレディネスを確認
- 問題があれば修理・整備を依頼
- 準備が整った状態でユーザー車検を受験
完全に自己完結するには、個人でスキャンツールを購入し
診断知識を習得する必要があり
コストと労力の面で現実的ではないケースが多いでしょう。
整備工場が今すぐ取り組むべき準備
設備投資と情報収集
OBD検査対応には、以下の投資が必要です
- 適合スキャンツール:国産車・輸入車の両方に対応できる機種、またはメーカー別ツールの整備
- 最新情報へのアクセス:国土交通省、JASPA、メーカーからの情報を定期的に確認
- スタッフ教育:OBD診断の基礎知識、各メーカーの特性、トラブルシューティング
国土交通省の検討会資料やBSRwebの技術記事は
継続的にフォローすることで
制度変更やトラブル事例の最新情報を入手できます。
顧客への事前説明と信頼構築
検査前の準備説明が、顧客満足度を大きく左右します。
以下の情報を分かりやすく伝えることで、トラブルを未然に防げます
- 車両がOBD検査対象かどうか
- 検査前に必要な準備(走行、バッテリー充電など)
- 想定される追加費用(DTC修理、再検査など)
- 輸入車の場合の特別な対応
例えば、「バッテリー交換直後は検査に時間がかかる可能性がある」
といった情報を事前に共有するだけで、顧客の不安を軽減できます。
まとめ:OBD検査時代の「合格の方程式」

OBD検査制度は、導入1年を経て、現場での運用ノウハウが蓄積されてきました。
不適合を避けるための核心は、「事前準備の徹底」に尽きます。
改めて重要ポイントを整理します。
検査前チェックリスト
- 対象車両かどうかの確認(型式リスト参照)
- バッテリー電圧の測定と確保(12.5V以上)
- DTCの有無確認と必要に応じた修理
- レディネスコード完了の確認
- 通信テストの実施
2025年10月以降は輸入車も本格対象となるため、
特に輸入車を多く扱う工場では、メーカー別の情報収集と診断機器の整備が急務です。
OBD検査は、単なる新しい検査項目ではありません。
車両の電子化が進む現代において
安全性と環境性能を維持するための重要な仕組みです。
適切な知識と準備があれば、決して恐れるものではありません。
この記事で紹介した準備と対策を実践することで
あなたの車両は確実にOBD検査をクリアできるでしょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
参考情報源
- 国土交通省 OBD検査概要
- 国土交通省 OBD検査運用状況PDF
- 国土交通省 対象型式リストPDF
- JASPA OBD解説ページ
- BSRweb OBD検査会合記事(前編)
- BSRweb OBD検査会合記事(後編)
- JAIA 輸入車整備情報
- おたから車検 ユーザー車検解説