BLOG ブログ

2025.12.07

【2025年決定版】自動車整備士が教える冬の車点検4項目ガイド

冬の安全運転のための自動車点検・整備ガイド

こんな経験、ありませんか?

「今朝、車のエンジンがかからなくて会社に遅刻してしまった」

「雪道で急ブレーキをかけたら、思った以上に滑ってヒヤッとした」——。

 

冬の訪れとともに、車のトラブルは急増します。

寒さや雪といった厳しい環境が

普段は気づかない車の弱点を次々と露呈させるのです。

 

でも、安心してください。

冬のトラブルの大半は、事前の点検と整備で防ぐことができます。

 

この記事では、マイカーを持つあなたに向けて

「何を・いつまでに・どこへ」頼めば安心なのか

プロの整備士の視点から徹底解説します。

 

難しい専門知識は不要です。

自分でできるチェックと、プロに任せるべき部分を明確に線引きしながら

あなたの愛車を冬のトラブルから守る方法をお伝えします。

 


冬になる前に必ず知っておきたい「冬の車トラブル」とは?

冬はなぜ車のトラブルが増えるのか?

 

冬になると、車のトラブルは明らかに増加します。

JAFのロードサービス出動件数のデータによると

過放電バッテリーによる出動件数は冬にかけて増加する傾向があります。

 

特に注目すべきは

12月から3月にかけてバッテリー関連の救援要請が急増しているという事実です。

 

さらに驚くべきことに、JAF新潟支部の2023年度のデータでは

12月から3月の期間は

それ以外の期間に比べてバッテリー上がりの件数が増加していることが明らかになっています。

 

気温低下で起こりやすい代表的なトラブル

冬に車のトラブルが増える最大の理由は「気温の低下」です。

外気温が下がるとバッテリー液の温度も下がって化学変化が鈍くなり

性能が低下しやすくなります。

バッテリーにとって、適温は25℃くらいと言われています。

 

気温低下で考えられる、主なトラブルとしては以下が挙げられます。

 

バッテリー上がり

朝のエンジン始動ができない、ライトがつかないなど。

気温の低下によりバッテリー液の温度が下がると

充電効率が落ちてしまい、十分な電力を蓄えられません。

 

タイヤのスリップ・スタック

凍結路面や積雪路でのスリップ事故

雪にタイヤが埋まって動けなくなる状態。

ノーマルタイヤでは制動距離が大幅に伸び、危険な状態になります。

 

さらに注目すべきは、気温が低い冬場や春先はライト類の使用やエアコン

デフロスターなど電装品の使用頻度が増える傾向にあるため

バッテリーへの負担が一層大きくなるのです。

 

この記事で分かること・できるようになること

 

この記事を読むことで、次のことが明確になります。

 

  • 自分の車に足りない冬支度が分かる:4つの重要な点検項目を確認できます。
  • プロに任せるべき項目が整理できる:セルフチェックとプロの点検の線引きが明確になります。
  • 今日からできるセルフチェックと整備工場で相談すべきポイント:実践的な判断基準を提供します。

 

冬本番を迎える前に、1つずつ確認していきましょう。

 


自動車整備士が厳選「冬場の点検整備4項目」全体像

 

冬の車トラブルを防ぐには

4つの重要な点検項目を押さえておく必要があります。

これらは整備のプロが必ずチェックする項目であり

それぞれが安全運転に直結しています。

 

4項目の一覧

 

1. タイヤの点検・交換(スタッドレス・残り溝・空気圧) 雪道・凍結路での「命綱」となる部分。制動距離とグリップ力に直接影響します。

2. バッテリーの点検(電圧・年数・端子の状態) 冬に最も多い「エンジンがかからない」トラブルの原因No.1。予防交換が重要です。

3. 冷却水(不凍液)の濃度と交換サイクル 凍結によるエンジン破損を防ぐ、見えない守り。濃度管理が鍵です。

4. ヒーター・デフロスター・曇り止め対策 視界確保と快適性を両立。暖房が効かない場合は何かの異常のサインです。

 

これら4項目は独立しているようで、実は相互に関連しています。

たとえば、バッテリーが弱っているとヒーターの効きも悪くなり

冷却水が不足するとオーバーヒートだけでなく暖房も効かなくなります。

次の章から、各項目を詳しく見ていきましょう。

 


【1】タイヤの点検と交換:冬の"命綱"になる部分

冬用タイヤが必要な理由

 

ノーマルタイヤ(夏タイヤ)で雪道を走ることは

スケートリンクを革靴で歩くようなものです。

 

凍結した路面では、制動距離が数倍に伸び

カーブでのグリップ力もほとんどありません。

 

スタッドレスタイヤは、低温でも硬くならない特殊なゴムを使用し

深い溝と細かな切れ込み(サイプ)により

雪を掴み、氷上の水膜を除去してグリップ力を発揮します。

 

オールシーズンタイヤは浅雪には対応できますが

本格的な積雪路や凍結路では性能が不足します。

 

タイヤチェーンは応急用として有効ですが、装着の手間と速度制限があるため

頻繁に雪道を走る方にはスタッドレスタイヤが推奨されます。

 

残り溝・製造年・ひび割れのチェックポイント

 

スタッドレスタイヤの性能を左右するのが「残り溝」です。

ブリヂストンでは、50%の摩耗を、スタッドレスタイヤの交換目安にとしています。

 

製造年のチェック

タイヤの側面には製造週と年が刻印されています。

たとえば「3219」なら2019年の第32週製造という意味です。

スタッドレスタイヤの交換時期は約3~4年といわれており

オートバックスでは、3年または30,000kmでのメンテナンスをおすすめしています。

 

ひび割れの確認

ひび割れがタイヤ内部のコードに達している場合は、交換が必要です。

表面の細かいひび割れは経年劣化で生じますが

深いひび割れはバーストの危険があります。

判断が付かない場合は、タイヤ専門店に確認してもらいましょう。

 

空気圧と低温の関係

 

気温が下がると、タイヤの空気圧も自然に低下します。

これは気体の性質によるもので

温度が10℃下がるごとに空気圧は約10kPa(約0.1kg/cm²)低下するとされています。

 

冬場の空気圧調整の目安

メーカー推奨の空気圧は、運転席側のドア付近に記載されています。

冬場は、この推奨値よりもやや高め(5〜10kPa程度)に調整しておくと

気温低下による圧力低下をカバーできます。

 

空気圧が低いと、燃費が悪化するだけでなく

雪道でのグリップ力も低下します。

月に1回は空気圧をチェックし

ガソリンスタンドやカー用品店で調整してもらいましょう。

 


【2】バッテリー点検:冬に一番多い「エンジンがかからない」を防ぐ

冬にバッテリー上がりが増える理由

 

JAFの統計によると

毎年12月から3月にかけてバッテリー関連の救援要請が急増しています。

冬にバッテリートラブルが増える理由は、主に3つあります。

 

1. 低温で電圧が下がる

冬はバッテリーから電気を取り出す力や充電効率が下がる一方

エンジン始動に必要な電気や電装品の使用量が増えるため

充電と放電のバランスが崩れてバッテリーが上がりやすくなります。

 

2. 夜間走行・暖房使用などで負荷が増える

気温が低い冬場や春先はライト類の使用やエアコン

デフロスターなど電装品の使用頻度が増える傾向にあるため

バッテリーへの負担が大きくなります。

 

3. エンジン始動時の負荷増大

気温が低下すると、エンジンオイルの粘度が高くなるため

エンジンを動かすときの駆動抵抗が大きくなります。

冬は夏よりも約1.5倍の電気を必要とするため

バッテリーにかかる負担も増えます。

 

チェックすべきポイント

 

自分でできるバッテリーチェックのポイントは以下の3つです。

 

使用年数・走行距離

バッテリーの寿命は2~3年です。

2年を超えたバッテリーは、冬本番前に交換を検討すべきです。

 

始動時のセルモーターの回り方

エンジンをかけるときに、セルモーターの回転が遅い、音が弱々しい場合は、バッテリーが弱っているサインです。

「キュルキュル」という音が「キュル…キュル…」とゆっくりになったら要注意です。

 

端子のサビ・汚れ

バッテリーの端子に白い粉状のサビや汚れが付着していると

電気の流れが悪くなります。

ボンネットを開けて、目視で確認しましょう。

 

プロ点検で分かること

 

整備工場やガソリンスタンドでのプロ点検では

専用テスターを使って以下を測定します。

 

電圧:正常なバッテリーは12.5V以上。12V以下は要注意、11V以下は交換が必要です。

容量:バッテリーが蓄えられる電気の量。容量が低下すると、始動時に必要な電力を供給できません。

交換時期の目安:テスターの結果をもとに、あと何ヶ月使えるかの予測が可能です。

 

予防交換のメリット

バッテリーは突然上がることが多く

出先でトラブルになると時間とコストがかかります。

 

バッテリー取扱店で定期的に点検を受け、トラブルが発生する前に

バッテリーの補充電または、バッテリーの交換をお勧めします。

冬本番前の予防交換は、安心のための投資と考えましょう。

 


【3】冷却水(不凍液):凍結・オーバーヒートを防ぐ見えない守り

冷却水の役割と冬に注意すべき理由

 

冷却水(クーラント)は、エンジンを冷やしてオーバーヒートを防ぐだけでなく

冬には凍結を防ぐという重要な役割を担っています。

 

水は0℃で凍ってしまうのですが、エチレングリコールは融点が低いため凍り付くことを防いでいます。

さらに、冷却水には防さび剤が添加されており錆を防止する役割があります。

 

もし冷却水が凍結すると、配管やエンジンブロックが破損し

修理に数十万円かかることもあります。

冬の寒さが厳しい地域では、冷却水の濃度管理が特に重要です。

 

濃度チェック・交換サイクル

 

濃度が低いと凍結やエンジン破損のリスク

冷却水の濃度が低いと、凍結温度が高くなります。

 

たとえば、濃度30%なら約-15℃まで耐えられますが

濃度が20%に薄まると-10℃程度で凍結する可能性があります。

 

一方、濃度が高すぎると熱伝導率が低下し、

夏場のオーバーヒートリスクが高まります。

適切な濃度管理が必要です。

 

メーカー推奨交換時期の目安

冷却水は車検ごと(2年)の交換を推奨しています。

ただし、いまの国産車長寿命タイプが一般的です。

 

新車時に入っている冷却水は、メーカーによって異なりますが

初回は7〜16万km、または4〜7年まで交換不要な長寿命タイプが使われています。

 

2回目以降は、4年間交換不要だったり、10万km交換不要だったりするものもあるので

取扱説明書を読んで、交換時期を決めてください。

 

セルフチェックとプロ点検の線引き

 

リザーバタンクの量・色の目視確認(セルフチェック)

エンジンルーム内にある半透明のリザーバタンクを確認します。

 

目盛のLOWやMINの下限値よりも少ない状態になっていると

極端に量が減ってきているかもしれません。

 

また、冷却水は赤や緑、青やピンクなどの鮮やかな色をしていますが

この色が濁っている場合は劣化したエンジンオイルが混入している可能性があるため

業者に点検を依頼する必要があります。

 

濃度計による測定・エア抜き作業はプロへ

冷却水の濃度測定は、専用の測定器(ブラインテスター)を使います。

これはプロに任せるべき作業です。

 

また、冷却水交換時のエア抜き作業は

エンジン内に空気が残るとオーバーヒートの原因になるため

整備工場で行ってもらいましょう。

 


【4】ヒーターとデフロスター:快適性+安全性を両立

ヒーターが効かない時に疑うポイント

 

冬の車内で暖房が効かないのは

単なる不快だけでなく、安全上のリスクでもあります。

ヒーターが効かない原因として、以下が考えられます。

 

冷却水不足:ヒーターは、温まった冷却水を利用して車内を暖めます。冷却水が不足すると、暖房効果が低下します。

サーモスタット不良:エンジンの温度を調整する部品。これが故障すると、エンジンが適温まで上がらず、暖房が効きません。

ヒーターコア詰まり:ヒーターコアは、小さなラジエーターのような部品で、冷却水の通り道です。これが詰まると、温風が出なくなります。

 

「暖房が効かない」というのは、何かの異常を知らせるサインです。

放置せず、早めに整備工場で点検してもらいましょう。

 

ガラスの曇り・凍結を未然に防ぐコツ

 

乗車前の事前準備

朝、車のフロントガラスが凍結している場合は

解氷スプレーやスクレーパー(霜取り器具)を使って除去します。

 

お湯をかけるのは、温度差でガラスが割れる危険があるため避けてください。

デフロスター(曇り止め機能)を活用し、エンジン始動後は数分間アイドリングして

車内を温めてからガラスの氷を溶かすのが効果的です。

 

室内湿度・濡れたマットの影響

車内の曇りは、室内の湿度が高いときに発生します。

雪や雨で濡れた靴やマット、車内に持ち込んだ傘などが原因です。

 

濡れたフロアマットはこまめに乾燥させ、車内の換気を心がけましょう。

エアコンの「A/C」ボタンをオンにすると

除湿効果があり、曇りを早く取り除けます。

 


冬の点検整備が「命を守る」3つの理由

安全運転を確保するため

 

タイヤのグリップ力が低下した状態で雪道を走ると

スリップ事故や追突事故のリスクが高まります。

 

バッテリーが弱っていると

エンジンがかからず、緊急時に車を動かせません。

 

これらの点検整備は、ドライバー自身と同乗者

そして周囲の車の安全を守るために不可欠です。

 

事故・立ち往生のリスクを減らすため

 

冬の山道や高速道路で立ち往生すると、命に関わる危険があります。

冷却水の凍結やバッテリー上がりで車が動かなくなれば

寒さの中で長時間待つことになります。

 

事前の点検で、こうしたリスクを大幅に減らせます。

 

快適でストレスの少ないドライブのため

 

暖房が効き、視界が確保され、安定した走行ができる車は

ドライバーのストレスを軽減します。

 

快適な車内環境は、集中力を保ち、安全運転にもつながります。

点検整備は、「安全」「事故リスク軽減」「快適性」のすべてを実現するための投資なのです。

 


FAQ:冬の車のメンテナンスでよくある質問

Q1. スタッドレスタイヤは何シーズン使えますか?

 

スタッドレスタイヤの交換時期は約3~4年といわれています。

ただし、使用状況によって異なります。

 

走行距離が長く、急ブレーキや急ハンドルなどスタッドレスタイヤに負荷のかかる運転をすると

摩耗が激しくなり、劣化を早めてしまいます。

 

また、スタッドレスタイヤのゴムが硬くなったら寿命といえます。

ゴムが硬くなるとグリップ力は弱まり

スタッドレスタイヤ本来の性能を発揮できなくなるため

3年を超えたタイヤは、専門店でゴムの硬度をチェックしてもらいましょう。

 

Q2. バッテリーは何年ごとに交換すべき?

 

バッテリーには寿命があり、一般的に2~3年と言われています。

ただし、使用状況によって異なります。

 

短距離走行が多い、週末しか乗らない、夜間走行が多いといった使い方をしていると

バッテリーの劣化が早まります。

 

破損・劣化がないか1カ月に1回は点検しましょう。

2年を超えたら、冬本番前に予防交換を検討することをお勧めします。

 

Q3. 雪がほとんど降らない地域でも冬の点検は必要?

 

はい、必要です。

たとえ雪が降らない地域でも、気温が下がればバッテリーの性能は低下します。

 

また、年に数回のスキー旅行や帰省で雪道を走る可能性があるなら

スタッドレスタイヤへの交換や冷却水の濃度チェックは不可欠です。

 

さらに、冬場はエアコン使用やライト点灯時間が長くなり

バッテリーへの負担が増えます。

雪が降らない地域でも、バッテリーと冷却水の点検は行いましょう。

 


まとめ

この記事の要点おさらい

 

冬のトラブルは事前点検でかなり防げます。

今回ご紹介した4つの項目——タイヤ、バッテリー、冷却水、ヒーター——を押さえれば

凍結路でも安心度が上がります。

 

タイヤ:残り溝50%以下、製造から3〜4年経過したら交換を検討。100円玉で簡単チェック。

バッテリー:使用2〜3年が交換目安。冬本番前の予防交換で出先トラブルを回避。

冷却水:リザーバタンクの量と色を確認。濃度測定はプロに依頼。

ヒーター:暖房が効かない場合は早めに点検。曇り止めはエアコンのA/Cボタンで対策。

1つでも不安な項目があれば、プロに相談してください。

整備工場やガソリンスタンド、ディーラーでは

無料点検を実施しているところも多くあります。

 

冬本番前の今が、一番余裕を持って点検できるタイミングです。

急な寒波や初雪のニュースを見てから慌てるのではなく

今週末にでも、最寄りの整備工場に電話してみませんか?

 

あなたとご家族の安全な冬のドライブのために、今できる準備を始めましょう。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。


参考情報

Instagram