自動車整備士の年収は低い?426万の実態と年収アップ術
「自動車整備士の給料は低い」——そんな声をよく耳にします。でも、実際のデータはどうなのでしょうか。
2024年度の自動車整備士の平均年収は約426万円。
実はこれ、12年連続で上昇中の過去最高額です。
「低い」と言われ続けてきたこの仕事の年収は静かに、でも着実に上がっています。
この記事では、最新の公的データをもとに自動車整備士の年収の実態を整理します。
職場の種類別・年齢別の比較から、今話題のEV化が整備士の市場価値に与える影響、そして年収を具体的に上げる4つの方法まで、一気に解説します。
「自分の年収が相場と比べてどうなのか」「どうすれば年収が上がるか」——その答えをこの記事で見つけてください。
1.自動車整備士の年収は「低い」のか?最新データで確認

2024年度の平均年収は426万円(12年連続上昇)
日本自動車整備振興会連合会(JASPA)の自動車整備白書(2025年版)によると
2024年度の全国の自動車整備士の平均年収は約426万円でした。
注目すべきは、これが12年連続での上昇であり過去最高額という点です。
2013年度は374万円だったため、この約10年で52万円もアップしています。
月収に換算すると約4万円以上の増加です。
| 年度 | 平均年収 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2013年度 | 374万円 | — |
| 2018年度 | 約391万円 | +17万円 |
| 2022年度 | 約404万円 | +13万円 |
| 2024年度 | 約426万円 | +22万円 |
出典:日本自動車整備振興会連合会『自動車整備白書 2025年版』※数値はご自身でもご確認ください。
日本の給与所得者平均460万円との差は約34万円
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」では、給与所得者全体の平均年収は460万円です。
自動車整備士の平均426万円との差は約34万円。
たしかに全体平均を下回っていますが、「自動車整備士はとにかく安い」というイメージほど大きな差ではありません。
また後述するとおり、ディーラー勤務であれば500万円超えも珍しくありません。
「低い」のではなく「上がり続けている職種」という見方
整備士の人手不足が深刻化する中、業界全体での待遇改善の動きが加速しています。
また、EV・ハイブリッド車の普及により、高度な電子技術が扱える整備士への需要も高まっています。
「自動車整備士=低収入」は、過去のイメージです。今後も上昇トレンドは続く見通しです。
参考:日本自動車整備振興会連合会(JASPA)公式サイト:https://www.jaspa.or.jp/
2.職場タイプ別|ディーラーvs民間工場の年収差を徹底比較

民間整備工場の平均年収:約389万円
メーカーや車種を問わず対応する民間整備工場(いわゆる「町の整備工場」)に勤める整備士の2024年度平均年収は、約389万円でした(JASPA 2025年版データ)
個人・中小規模の工場が多く、賞与の水準や昇給制度が会社によって大きく異なる点が特徴です。
一方で、様々な車種・作業に携われる経験の幅広さや、地域に根ざした働き方を評価する整備士も多くいます。
ディーラーの平均年収:約509万円(差額は実に120万円)
特定メーカーと契約したディーラーに勤める整備士の2024年度平均年収は約509万円。民間工場との差は実に約120万円です。
この差は前年(民間385万円、ディーラー490万円)よりもさらに拡大しています。
ディーラーでの待遇改善が特に顕著であることがわかります。
| 職場タイプ | 平均年収(2024年度) | 前年比 |
|---|---|---|
| 民間整備工場 | 約389万円 | +4万円 |
| ディーラー | 約509万円 | +19万円 |
なぜ120万円もの差が生まれるのか?3つの理由
- 賞与・各種手当の充実:ディーラーは資格手当・家族手当・工具手当なども整備されている
- 経営基盤の安定性:メーカー資本による安定した売上が、給与水準の維持・向上につながる
- 採用基準と競争:ディーラーは採用水準が高く、結果として人材の質が上がり給与も高くなる傾向がある
それでも民間工場を選ぶメリット
年収だけを見ればディーラーが有利ですが、民間工場にも見逃せないメリットがあります。
- 特定メーカーに縛られず、幅広い車種・業務経験を積める
- アットホームな職場環境で、人間関係が築きやすい
- 将来的な独立・開業を見据えた経営感覚が身につく
年収だけでなく、キャリアの方向性も考慮したうえで職場を選ぶことが重要です。
参考:JASPA 自動車整備白書2025年版:https://www.jaspa.or.jp/(※詳細はご自身でご確認ください)
3.年齢別・経験年数別の年収モデル

| 年代 | 平均年収の目安(100人以上規模の企業) | ポイント |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 約302万円 | 基礎スキル習得期。資格取得が将来を左右する |
| 25〜29歳 | 約371万円 | 月給の伸びが最も大きい時期 |
| 30〜34歳 | 約428万円 | 転職の判断分岐点。現職評価の見極めを |
| 35〜39歳 | 約458万円 | 専門性が評価され始める |
| 40〜49歳 | 約495〜496万円 | 年収ピーク期。管理職移行が鍵 |
| 50〜54歳 | 約515万円 | 最高峰。工場長・管理職の割合が増える |
| 55〜59歳 | 約481万円 | 緩やかに減少傾向 |
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」・株式会社ダイバージェンスの整理データをもとに作成。※上記の数字は参考値です。
20代:302〜371万円。スキル習得がその後のキャリアを決める
入社直後の初任給は専門学校卒で約18〜21万円が相場。年収は240〜300万円台からスタートします。
この時期は給与の絶対額よりも、二級整備士の資格取得や車種の幅を広げることが、5年後・10年後の年収を大きく左右します。
30代:428〜458万円。転職を考えるならこのタイミング
スキルと経験が積み上がり、転職市場でも評価されやすい年代です。
民間工場からディーラーへの転職や、より規模の大きな会社への移籍を検討するなら、30代前半〜中盤が動きやすい時期と言えます。
40〜50代:495〜515万円がピーク。管理職への移行が重要な分岐点
年収のピークは45〜54歳ごろ。整備士としての技術を評価されながら、工場長やサービスフロント責任者などの管理職ポジションに就く方が増える時期です。
ここでのキャリア選択が生涯年収に大きく影響します。
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html
4.EV・HV化で整備士の年収はどうなるのか?

「EVが増えると整備士の仕事がなくなる?」——この不安、実は逆かもしれません。
EV普及で「減る仕事」と「増える仕事」を整理する
電気自動車(EV)にはエンジン・トランスミッション・排気系がありません。そのため、これらに関わる従来の整備作業は確かに減っていきます。
しかし一方で、以下のような新しい整備領域が急速に拡大しています。
- バッテリーの点検・交換・管理
- モーター・インバーターの診断・整備
- 車載ソフトウェア(OTA)の更新・不具合対応
- 先進運転支援システム(ADAS)のキャリブレーション
国土交通省も、EV・HV・燃料電池車の整備技術習得が整備士の価値向上に直結すると明示しています。
EV対応スキルを持つ整備士の市場価値は今まさに上がっている
現状、EV整備を適切に行える整備士は業界全体でまだ少数派です。
需要が高まる一方で供給が追いついていないため、EV整備の資格・スキルを持つ整備士には希少価値があります。
ディーラーや大手整備会社では、EV対応できる整備士への資格手当・特別手当を設けるケースも出始めています。
今から動くべき理由——需要の「過渡期」こそチャンス
EV普及が本格化する前のこの時期に、EV・HV整備スキルを身につけておくことは、先行投資として非常に有効です。
5年後・10年後の年収に、今の行動が直接つながります。
参考:国土交通省「自動車整備士の人材確保・育成」:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk9_000004.html
5.自動車整備士が年収を上げる4つの方法

① 上位資格の取得(1級整備士・自動車検査員)
資格手当は、最も確実に年収をアップさせる方法のひとつです。
二級整備士しか持っていない場合、一級整備士や自動車検査員の資格を取得することで、手当が月3〜5万円程度加算されるケースがあります(会社により異なります)。
- 一級自動車整備士:最上位国家資格。保有者は全国でもまだ少なく、希少価値が高い
- 自動車検査員:車検の合否判定ができる資格。工場の運営上必須のため会社から取得を推奨されやすい
② ディーラーへの転職(年収差120万円の現実)
すでにご紹介したとおり、ディーラーと民間工場の年収差は約120万円。
転職はリスクがゼロではありませんが、年収改善効果としては最もインパクトが大きい選択肢です。
転職後1年目はボーナスが出ないケースもあるため、短期的な収入の落ち込みは覚悟したうえで中長期の年収増加を見込むのが正しい考え方です。
③ 管理職・サービスフロントへのキャリアシフト
整備現場から工場長・主任・サービスフロントへとポジションを上げることで、年収が大きく変わります。
技術スキルに加えてコミュニケーション・マネジメント能力が評価されます。
④ EV・HV整備資格を先取りする
前述のとおり、EV対応できる整備士への需要は今後急増します。
今から資格を取得しておくことで、希少価値の高い人材として評価されます。
6.比較パート|年収で選ぶ「整備士の働き方」3パターン

| パターン | 働き方 | 年収目安 | こんな人向け |
|---|---|---|---|
| A:スキルを広げる | 民間工場 | 約389万円 | 色々な車を触りたい・地域密着で働きたい人 |
| B:安定+高収入 | ディーラー | 約509万円 | 収入の安定と待遇を重視する人 |
| C:上限を取り払う | 独立・個人工場経営 | 個人差大(年収1,000万円超も可能) | 経営志向がある・長期的な高収入を狙う人 |
パターンA:民間工場でスキルの幅を広げる
年収は3パターンの中で最も低めですが、様々なメーカー・車種に対応できる汎用性の高い技術が身につきます。
将来の独立や転職の際に、幅広い経験が武器になります。今いる会社で一級資格・EV資格を取得すれば、そのままポジションアップも見込めます。
パターンB:ディーラーで安定と高収入を両立
賞与・各種手当が整備されており、長期的な年収安定を求める人には最もおすすめのルートです。
特定メーカーへの深い知識が積み上がり、ディーラー内での昇格ルートも明確な場合が多いです。
ただし「一つのメーカーに特化する」という特性上、転職市場での汎用性は民間工場より低くなる面もあります。
パターンC:独立・個人工場経営で上限をなくす
日整連の統計によると、整備士1人あたりの年間整備売上高は約1,486万円にのぼります。
適切な経営ができれば、雇用整備士の平均年収を大きく超える収入も現実的です。
一方でリスク管理・集客・設備投資など、技術以外の経営スキルが必要になります。独立は「稼げるが難しい」選択肢です。
参考:日本自動車整備振興会連合会『自動車整備白書』:https://www.jaspa.or.jp/
よくある質問(FAQ)
Q1. 自動車整備士の手取り年収はいくら?
平均年収426万円をもとに計算すると、月収は約27〜28万円の額面となります。
ここから社会保険料・所得税などが引かれるため、手取りは月額22〜23万円程度が目安です(家族構成・居住地によって変わります)
Q2. 転職すると一時的に年収は下がる?
転職後1年目はボーナスが出ない会社が多く、一時的に年収が下がることはよくあります。
ただし、ディーラーや規模の大きな会社への転職であれば、2年目以降に年収が大きく改善するケースが多いです。
転職を考える際は「1〜3年後の年収」で比較することをおすすめします。
Q3. 1級整備士と2級整備士では年収にどれくらい差がある?
会社によって異なりますが、1級整備士に対する資格手当が月2〜5万円程度加算されるケースが一般的です。
年収換算で24〜60万円の差になります。また、より高度な業務を担えることで昇格・昇給にも有利になります。
Q4. 女性の自動車整備士の年収は男性と違う?
国家資格なので、資格の等級による給与差はあっても性別による公式な差はありません。
ただし現場では男性の割合が圧倒的に多く、サンプル数の少なさから平均値の比較が難しい側面があります。
女性整備士の活躍を積極的に推進する事業所も増えており、待遇の平準化が進んでいます。
Q5. 将来的に整備士の需要はなくなる?
日本の自動車保有台数は約8,000万台超(自動車検査登録情報協会データ)で安定しており、車検制度がある限り整備の需要がなくなることはありません。
EV化で仕事の内容は変わりますが、整備士としての需要自体はなくならないと考えられています。むしろEV対応できる整備士は市場価値が上がります。
参考:自動車検査登録情報協会「自動車保有台数の推移」:https://www.airia.or.jp/
まとめ|「低い」で終わらせない整備士の年収戦略

この記事で解説した内容を3点にまとめます。
- 自動車整備士の平均年収は約426万円(2024年度)。12年連続上昇中の過去最高額。「低い」のではなく「上がり続けている」職種。
- ディーラー勤務なら平均509万円と、民間工場との差は約120万円。職場の選択だけで生涯年収に大きな差が生まれる。
- EV・HV整備スキルの習得は、今後の年収アップへの先行投資。今動くほど市場価値が高まる。
「どこで働くか」「どんな資格を取るか」「どのキャリアを選ぶか」——これらを意識的に選択するだけで、同じ整備士でも年収に大きな差がつく時代になっています。
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